「金」の眼鏡で見た おカネの風景

ブルドーザーが米ミサイルに勝った

 トランプ氏は相変わらず意気軒高です。6月11日のイラン攻撃の後、「昨夜、2億5000万ドルの爆弾とミサイルをイランに投下した。イランにはもう何も残っていない」とテレビで語りました。「イランにはもう何も残っていない」は、トランプ氏のお気に入りのセリフで、イラン戦争が始まってから、何度も繰り返しています。

 しかし、このところ米欧の大手メディアは、「いや、イランにはほとんど残っている」という全く正反対の報道を続けています。いずれも米軍がリークした極秘データをもとにしており、米軍の意向がにじんでいます。

 たとえばCNNは「ブルドーザーの勝利、イランが地下ミサイル基地を回復」と題して、次のように報じました。

 ――米軍とイスラエル軍は、イランの地下ミサイル基地と入り口を空爆して破壊したが、衛星画像によると、イランは18か所の地下基地の69か所の入り口をすでに修復した。ブルドーザーやダンプカーを使っての作業で、要した時間は2カ月もかからなかった。

 軍事専門家は、この修復の結果、イランの地下貯蔵施設にはまだ約1000発の弾道ミサイルが保管されていると見ている。「被害を与えるには高価なミサイルが必要だが、復旧に必要なのはブルドーザーだけでいい」と語るハンブルグ大学の研究者、カディシェフのコメントが、CNN報道の締めくくりに使われました。

 また、英フィナンシャル・タイムズ紙は、「イランは米国とイスラエルとの戦争で、保有するミサイルの30%しか使用しなかった」と報じました。
 ――米情報機関のデータによると、イランは戦争前に保持していた移動式発射装置の70%とミサイルの70%を今も保持している。アクセスのためのトンネルも地下にあり、一部の入り口はミサイルで破壊されたが、数時間後には同じ場所から反撃のミサイルが発射された。

 「イランの地下施設は山岳地帯の奥深くに位置しており、米軍のミサイルも地下70mより深い標的を破壊できない。このため、米とイスラエル軍による空爆は、ミサイルを管理するイラン革命防衛隊の政治力を強化する結果になった。

 こうした報道は、5月の米紙ワシントン・ポストが皮切りでした。トランプ大統領は米軍の最高司令官ですが、事実と違う認識に基づいて作戦を決め、軍事行動を命令すれば、その矢面に立たされるのは米軍と兵士たちです。

 だから「イランには何も残っていないは、事実じゃない」と伝えたくて、米軍幹部が大手メディアにリークしたと考えるのが妥当でしょう。軍の首脳が、最高司令官と反対のことを国民に知らせようとする――とても珍しい戦争を、私たちはいま目撃しているのかもしれません。(写真はCNN、ワシントンポスト、サイト管理人・清水建宇

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