「金」の眼鏡で見た おカネの風景

米国で砂金用の探知機が売れている

 180年前、19世紀半ばの米国で、突如として金採掘ブームが湧きおこりました。金が見つかった川べりや砂漠に人びとが殺到し、中国からの避難民も加わりました。採掘者たちの衣食住をまかなうために急ごしらえの街もつくられました。しかし、数十年後に金が掘り尽くされると、人びとは去り、廃墟だけが残りました。「ゴーストタウン(幽霊の街)」と呼ばれています。

 早くにブームが起きたカリフォルニア州では、移住者が30万人にのぼり、そのうち11万人は中国からの避難民だったと言われています。ネバダ州には600以上のゴーストタウンが残っており、この数は居住者がいる現在の自治体よりも多いそうです。

 大恐慌後の1933年、ローズベルト政権が金を没収し、国民や民間企業が金を保有することを禁じました。1974年になって、ようやく国民は金を保有することが認められましたが、40年間にわたる「保有禁止」によって、米国では金への関心が薄れたままです。趣味として金探しをする愛好家のサークルが活動しているだけです。

 ところが、金価格が1オンス(約31g)=2500ドルを超えた昨年秋以降、採掘サークルに加わる人が急に増え始めたと、米国のネット紙「Epock Times」が報じています。サークルの一つ、「デザート・ゴールド・ディガーズ(砂漠の金採掘者)」の会長は「この数カ月間で大勢の新会員が加わった」と話しました。

 このサークルは、集めた砂金を正当に所有できるように、アリゾナ州に19の鉱区を登録しています。会員は砂金探しに好適なタイプの金属探知機で地面をなでるようにしながら歩きます。

 この金属探知機はシカゴの企業が販売していますが、オーナーは「3月中旬に金価格が1オンス=3000ドルを突破してから、売れ行きが急に伸びた」と話しています。テキサス州の製造会社も「今年は増産することになる」と強気です。

 ごくまれに、砂金よりも大きな金塊が見つかることがあり、「ナゲット」と呼ばれます。世界最大のナゲットは1980年にオーストラリアの小都市で見つかったもので、27.7kgもありました。今の金価格では4億7000万円になります。この金塊はラスベガスのホテル「ゴールデン・ナゲット」に今も飾られていて、「一攫千金」の夢を語り続けています。

 マルコ・ポーロによって「黄金の国・ジパング」と紹介された日本にも、金採掘ができる観光施設がいくつかあります。米国のように金属探知機を使わず、「パンニング皿」に土砂を入れて川の水のなかで振り、底に残った砂金を採取するのが一般的です。

 代表的な施設をいくつか記しますので、興味のある方はサイトを訪れて、営業期間や入園料金などを確かめてください。 

ウソタンナイ砂金採掘公園(北海道浜頓別町)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/665964?rct=od_rum

佐渡西三川ゴールドパーク(新潟県佐渡市)
https://www.visitsado.com/spot/detail0009/

土肥金山(静岡県伊豆市)
https://www.toikinzan.com/

美川ムーバレー(山口県岩国市)
https://muvalley.com/about/

                      (写真はEpock Times、サイト管理人・清水建宇)

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